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アイスクリームの歴史(世界編~その1~)

アイスクリームはどのようにして現代まで親しまれてきたのでしょうか?ここでは、アイスクリームの原型と考えられている食べ物の事から、イタリアに初めて渡るまでを解説しています。

 

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●古代のアイスクリーム

おやつや食事の最後にデザートとして食べる事が多いアイスクリーム。
この様に嗜好品としての意味合いが強い現在のアイスクリームですが、古代ではアイスクリームの位置づけは現在と少し異なるようです。

 

アイスクリームの歴史は、食品を保存するための天然の氷や雪に、乳製品や蜜、果汁をかけて食べたことから始まります。最も古い記録として残されているのが旧約聖書。
この中では、アイスクリームというよりは現在のシャーベットかき氷のようなものだったと考えられています。当時、氷や雪は食品を腐らせないために冷やす、いわば冷凍庫の役割として使用されていました。やがて冬に貯蔵した氷や雪を、暑い夏に食べるようになっていきます。

 

これがアイスクリームの原型とされいてますが、当時はデザートとして食べていたわけではなく、兵士達の戦意を高めたり疲労回復を助けるいわば「健康食品」としての役割の方が大きかったようです。

 

●英雄たちにも愛されたアイスクリーム

この食べ物をデザートとして最初に楽しんだ人物がローマの英雄ジュリアス・シーザーだったと言われています。
彼は家来たちを万年雪の積もるアペニン山脈に出向かせ氷雪を運ばせては、ミルクや蜜、ワインなどをかけて食べていたと伝えられています。

 

また、ローマの皇帝ネロも同様に、アルプスから運ばせた万年雪に果汁、蜜、植物から採った樹液などをブレンドして作った氷菓子を愛飲していたと言われています。
この氷菓子は「ドルチェ・ビータ」と呼ばれローマ市民の間にも広がり、裕福な人々はそれぞれの自宅に氷の貯蔵庫を設けパーティーなどで楽しんだと伝えられています。

 

他にも、大帝国を樹立したアレキサンダー大王も氷雪を運ばせ、ミルクや果汁、糖蜜などを加えた冷たい飲み物を自ら楽しんだり、戦場の兵士達たちにも振舞ったと言われています。
ローマの将軍クイントゥス・マキシマス・グルゲオの文献には、氷菓子の作り方が記録されており、これが最古のアイスクリームのレシピと言われています。

 

●「シャルバート」から「シャーベット」へ

当時、古代ヨーロッパ文明の中心は地中海で、中でもシチリア島は東西文明の十字路で栄華を極めており、9世紀前半から2世紀半にわたりイスラム文化が定着します。

 

11世紀頃、シリア地方へ侵攻した十字軍が、アラブの砂糖と氷雪で作られた現地の甘い飲み物「シャルバート」 の製法をヨーロッパに伝えます。イスラム地方に伝わる古い物語集「千夜一夜物語」の中にも登場するシャルバート。このシャルバートこそシャーベットの原型とも言われており、これを元にイタリアのシチリア島で果物やナッツを使って「ソルベット」(シャーベットのイタリア語)が作られるようになりました。このようにシチリア島では、いろいろな種類の果物やナッツを使ったさまざまなソルベットが作られ、そのうちの一つにシチリア名物の「カッサータ」があります。

 

このシャルバートがシルクロードを経て、中国にもたらされたと記録が残されています。
大元帝国を建国したフビライカンは、自分の父の病気を癒したイスラムの妙薬を求めます。
それがサマルカンドの「舎里八」(シャルバートの漢字読み)で、いろいろな種類の果汁に砂糖を混ぜ、香りを付けた水をお香などで風味付けし、雪や氷で冷やしたものといわれています。
フビライは「舎里八」のあまりのおいしさに驚嘆したと伝えられ、調合した医師サルギスを厚遇したと言います。

 

●マルコポーロがイタリアへ伝達

アイスクリームの起源の他の説としては、もともと中国で古くより食べられていたミルクを凍らせたアイスクリーム「アイスミルク」が、シルクロードによりイタリアに伝わったというもの。

 

このアイスミルクを中国からイタリアに伝えたのが、旅行記「東方見聞録」で有名なマルコ・ポーロだと言われています。

 

マルコポーロは中国の北京で、中国宮廷でもてなされたアイスミルクを味わい、その製法をイタリアに持ち帰ったと言われています。これがヴェネツィアで評判になり、アイスミルクは北イタリア全土に広がったそうです。
マルコ・ポーロ
マルコ・ポーロ

 

この様にアラブで、古代ギリシャやローマで、そして中国で。このアイスクリームやシャーベットの原型とされる氷菓子は、英雄や貴族、富裕層の人々に大変愛されていたんですね。

 

>>「アイスクリームの歴史(世界編~その2~)」へ

 

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