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アイスクリームの歴史(世界編~その2~)

アイスクリームはどのようにして現代まで親しまれてきたのでしょうか?
ここからは、アイスクリーム新製法の発見や、フランスやイギリスに伝来にした16世紀頃のアイスクリームの歴史について解説していきます。

 

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●新製法発見

16世紀初頭、パドヴァ大学のマルク・アントニウス・ジマラ教授が、水に大量の硝石を入れると溶解により吸熱作用が起き、それにより-20度程度まで水の温度を下げられる事を発見します。この作用を利用して、人工的に食品を冷却・冷凍させる事に成功。
この方法は発見当初、ワインなどを冷やす技術として利用されていましたが、やがて近代技術の発展により冷却時間を短縮させる技術が開発。これにより飲み物を冷凍させる事が可能となります。
この新製法の発見に伴って、シャーベット類のバリエーションも増えて行く事となります。
イタリアで発見されたこの新製法は、17世紀初頭にはイギリスにも伝わります。
この様に16世紀はアイスクリームは大きな発展を遂げた時代でもありました。

 

●メディチ家からフランスへ

16世紀中頃、ついにこの頃、現在食べられているアイスクリームに一番近いとされるものが登場します。これが、セミフレッドのズコット
これは、フィレンツェの名家メディチ家に特にひいきにされていた建築家ベルナルド・ブオンタレンティが、メディチ家のために制作したもので、現在のアイスクリームの原型と考えられています。

オルレアン公とカテリーナの婚礼
オルレアン公とカテリーナ
の婚礼
またこの頃、メディチ家のカテリーナがフランスのオルレアン公(後のフランス王アンリ2世)に嫁いだ際、多くの専任シェフやアイスクリーム職人を伴ってフランス入りします。

 

その婚礼の席で、メディチ家のシェフ達による豪華なイタリア料理の数々が振舞われますが、その中でも、アイスクリーム職人による木いちごやオレンジ、レモン、レーズンなどのフルーツやナッツを使ったシャーベットの美味しさはフランス貴族たちをとても驚かせたようです。

 

この事をきっかけに、イタリアで食べられていたアイスクリームがフ

ランスへ伝わり、さらにドイツやイギリスの王族を介してヨーロッパ各地にも広がって行く事となりました。

 

●フランスで世界初のアイスクリーム誕生

17世紀末頃、シチリア出身のパティシェであるフランソワ・プロコープがパリでカフェ・ル・プロコープを開店します。
シャーベットの製法は当時、国家機密とされていましたが、ここでシチリアの氷菓子グラニータをアレンジした珍しいアイスクリームを初めてメニューに加えました。

 

これがホイップクリームを凍らせた氷菓子グラス・ア・ラ・シャンティで、初めて商業的に成功したアイスクリームと言われています。この頃より、フランスではアイスクリームがようやく一般市民に食べられるようになりました。
カフェ・ル・プロコープ

 

 

●イギリスへ

イギリスにアイスクリームが渡るのは17世紀半頃。メディチ家カテリーナの孫娘にあたるアンリエッタとイギリス王チャールズ1世の結婚がきっかけだったと考えられています。
カテリーナがフランスへ嫁いだ際と同様に、アンリエッタもまたアイスクリーム職人を伴ってお嫁入りをしたと言われており、その婚礼の席で振舞われたフランス料理は大いに賞賛されます。

 

この頃までのアイスクリームにはまだ乳製品がほとんど使用されておらず、代替えとしてメレンゲが使用されていました。ですので、アイスクリームと言うよりはシャーベットに近いものだったようです。

 

チャールズ1世は、そんなアイスクリームの魅力にとりつかれ、アイスクリーム職人に高い報酬を出して様々なアイスクリームを考案させます。その時に創作されたアイスクリームと言われているのが、現在の「三色アイスクリーム」と呼ばれているグラス・ナポリタンでした。

 

>>「アイスクリームの歴史(世界編~その3~)」へ

 

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